【対応力を鍛える人事学探究】第64回 劇団員の労働者性 諾否の自由が問題に バイト困難など拘束性も/林 栄美
2024.01.11
【労働新聞】
公演へ出演は労務の提供か
今回は、劇団員の労働者性が争われたケースとして、エアースタジオ事件(東京高判令2・9・3)を紹介する。本件は、舞台制作、スタジオ経営などを業とするY社が運営する劇団との間で、入団契約を締結して劇団員として活動していたXが、労働者として未払い賃金の支払いなどを請求した事案である。Xは本劇団において、大道具、小道具の製作や音響照明業務などの裏方業務を任されていたほか、公演への出演や稽古などを行っていた。
本判決は、劇団における各業務について、諾否の自由の有無、時間的・場所的な拘束の有無、労務提供への対価性などの諸点から個別具体的に検討すべきとした。結論として、裏方業務並びに公演出演や稽古などの各業務に有償性があり、諾否の自由がなかったなどとして、Xの労働者性を認めた。…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 林 栄美
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和6年1月15日第3432号12面 掲載