【裁判例が語る安全衛生最新事情】第433回 滑川市中学校事件 業務量を軽減せず安全配慮義務違反 富山地裁令和5年7月5日判決
2024.01.25
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被災者Aは、富山県滑川市の公立中学校で教諭であり、平成25年4月に着任し、平成28年度は3年生の学級担任、3年の4クラスの理科の授業、女子テニス部の顧問、生徒会のボランティア活動の企画実施の主務などを務めていたが、平成28年7月にくも膜下出血で死亡した(死亡時42歳)。中学校の校長はBであるが、Bの給与は富山県が負担していた。
遺族は妻(原告X1)と2人の子ども(原告X2、X3)である。X1は亡Aのくも膜下出血は公務に起因するものであるとして地方公務員災害補償基金富山県支部長に補償請求し、それが認められた。X1らは、被告をY1市、Y2県として国家賠償法1条1項、民法415条、国家賠償法3条1項に基づき、損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、校長の注意義務違反の有無
使用者は、その雇用する労働者に従事する業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、また、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきである。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2024年2月1日第2443号 掲載