【刑法改正と企業のセクハラ対応】第3回 就活生、フリーランスへの対応 厚労省が行政指導強化 新法による新たな義務も/加守田 枝里
2024.01.25
【労働新聞】
4人に1人以上が経験
就活生やフリーランスへのセクハラは、立場の弱い者に対する性加害という問題として社会で認識されてきた。厚生労働省は令和4年3月以降、大学生に対する出前講座の実施や被害に遭った学生のヒアリング、就活セクハラを起こした企業に対する指導の徹底など、対策を強化している。また、今後施行予定のフリーランス新法でも、一定の要件を満たした発注事業者に対し、セクハラ防止措置を義務付けている。
さらに、性犯罪に関する刑法改正により、性的行為に対する自由な意思決定を困難にする事由の1つとして「立場による影響力」が定められた。改正に先立つ「『性犯罪に関する刑事法検討会』取りまとめ報告書」(3年5月)には、地位・関係性の具体例として「就職活動先のОB・ОGと就職活動中の者」「取引相手とフリーランスの者」も挙げられている。
今回の刑法改正により、就活生やフリーランスは、強い影響力によって性的言動を断れない立場にあるという認識はさらに浸透していくだろう。企業としては、予防や被害拡大防止、再発防止の対応に一層力を入れる必要がある。
厚労省の「令和2年職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、…
筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 加守田 枝里
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令和6年1月29日第3434号6面 掲載