【刑法改正と企業のセクハラ対応】第4回 研修の見直し 「影響力」の自覚を促す 実例紹介は最適な素材に/大浦 綾子
2024.02.01
【労働新聞】
効果薄いNGワード化
多くの事業主が、ハラスメント防止措置の一貫として、社員向けのセクハラ防止研修を実施しており、筆者もその講師を務めることがある。受講者はさまざまな反応をする。同僚にからかうような視線を向ける者、考え込むような表情をしている者、講師の話に度々大きく頷く者など。世代、性別や、啓発がどの程度進んでいるかによっても、セクハラ問題への感度はさまざまと感じる。
セクハラ防止対策に当たっては、一人でも不快と感じる性的言動は無くすという高い目標を掲げるのが良く、研修でもそのように呼びかける。その根拠としては、均等法施行通達が、セクハラ該当性の判断においては被害者の「主観」を重視するとしている点や、被害者が「明確に意に反することを示しているにもかかわらず、さらに行われる性的言動は職場におけるセクシュアルハラスメントと解され得る」としている点が挙げられる。
今般の刑法改正により、社員同士や、フリーランスまたは求職者との間の性的言動の背景に、職場内の「立場による影響力」があるという認識が一般化していくことが見込まれる。これに備え、効果的なセクハラ対策研修をすべき要請は高い。以下では、筆者が実施しているセクハラ対策研修の内容を紹介する。…
筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子
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令和6年2月5日第3435号6面 掲載