【人事学望見】第949回 ユニオン・ショップ協定除名の効力 解雇権濫用の法理が適用される
労働組合に加入しなかったり、脱退・除名されたとき、使用者がその労働者を解雇する旨を約束したものをユニオン・ショップ協定という。わが国で多数みられるが、「原則として解雇」を約束しながら、会社業務に重大な支障があるとして解雇しない「尻抜けユニオン」がほとんどだ。
合理的理由を欠くとダメ
憲法28条は、「労働者が、労働組合を作ったり、加入したりする権利と、団体交渉や争議行為などの団体交渉をする権利は保障する」と規定している。使用者に対して、経済的弱者の地位にある労働者にこの三権を与えることによって、労使間の労働契約を結ぶ際の不平等をなくし、実質的に対等の関係を確保しているわけだ。その団結権の象徴を成すのがユ・シ協定である。
ところが、これは絶対的権利ではなく、前提である組合から脱退・除名された場合にも、使用者が解雇するケースは極めて少なく、判例でもユ・シ協定をそのまま認めるケースはみられない。
1、ユ・シ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労組への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由および他の労組の団結権を侵害する場合は許されない。
2、ユ・シ協定のうち、締結組合以外の他の労組に加入している者および締結組合から脱退し、または除名されたが、他の労組に加入し、または新たな労組を結成した者について使用者に解雇義務を定める部分は無効となる。
「まさに尻抜けユニオンそのものが具体的に著されていますね」…
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