【覚えておきたい!多様な休ませ方~制度設計・トラブル回避術~】第4回 年休③(地域的拡張適用) 安定した労使関係へ 労働条件が地域で統一/小田 学洋
2024.02.01
【労働新聞】
30年以上ぶりに茨城県で適用へ
本稿では、休暇・休日に関する労働協約の地域的拡張適用(労働組合法18条)について取り上げる。この制度は長年利用例がなかったが、令和になって複数の利用例が出ており、注目される。
前提として、まず労働協約の意味と効力について簡単に説明したい。労働協約とは、労働組合と使用者との間で締結される、労働条件その他に関する協定であって、書面に作成し、両当事者が署名し、または記名押印したものである(同法14条)。労働協約において、賃金、労働時間、休日、休暇、福利厚生等の労働条件その他労働者の待遇に関する基準を定めたときは、従業員との個別の労働契約でそれと違う定めをしても、労働協約の基準に反する部分は無効となる。この場合、無効となった部分は、労働協約の定めが適用される。また、従業員との個別の労働契約に定めのない基準を労働協約で定めた場合も、その部分は労働協約が適用される(同法16条)。この効力は、労働協約の内容が労働条件を従業員に不利益に変更するものであっても変わらない(最一小判平9・3・27=朝日火災海上保険〈石堂・本訴〉事件)。
労働協約の地域的拡張適用とは、特定の要件を満たしたときに、労働協約が、その労働協約を締結した労働組合に所属する労働者と使用者の間だけでなく、…
筆者:筆者:咲くやこの花法律事務所 弁護士 小田 学洋
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令和6年2月5日第3435号11面 掲載