【刑法改正と企業のセクハラ対応】最終回 相談窓口設置と対応 信頼なくして利用なし 問題を探す取組みも有効/大浦 綾子

2024.02.08 【労働新聞】
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 職場内や取引先、フリーランス、就職活動中の学生などとの人間関係において、不同意わいせつ、性交等罪をはじめとした深刻な性犯罪が起こることを防止するためには、信頼される社内相談窓口を設置することも重要と考える。企業が、相談窓口に寄せられるハラスメント相談を通じ、立場による影響力が背景にある、不健全なコミュニケーションの端緒をつかむことができれば、深刻な事態に発展することを防止できる可能性がある。

 男女雇用機会均等法およびセクハラ指針(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)は、企業にセクハラ相談窓口をあらかじめ定め、これを労働者に周知することと、相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じて適切に対応できるようにすることを義務付けている。

 ところが、令和2年度の厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、セクシュアルハラスメントを受けた後に「何もしなかった」と回答している労働者が39.8%にも及ぶ。相談窓口が信頼を獲得することは容易ではなく、種々の工夫が必要なのである。

 相談窓口の設置に当たっては、…

筆者:野口&パートナーズ法律事務所 弁護士 大浦 綾子

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令和6年2月12日第3436号6面 掲載
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