【裁判例が語る安全衛生最新事情】第435回 青森三菱ふそう自動車販売事件① 自殺に直結する長時間労働を否定 青森地裁八戸支部平成30年2月14日判決
2024.02.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、平成27年4月1日にY社に雇用され、自動車整備作業に従事していたが、平成28年5月9日に首つり自殺した。原告X1はその父親、原告X2はその母親である。
被告Y社は、自動車の仕入販売および修理などを目的とする株式会社であり、八戸市内に営業所を有していた。その営業所の所長はB、上司が課長代理Cであった。
X1らは、亡Aが長時間労働の結果、適応障害にり患し、営業所内に設置された金属製のワイヤに首をつって自殺したとして、Y社の安全配慮義務違反、上司であるB、Cらが違法な長時間労働を軽減する措置を執らなかった過失があったとする不法行為責任、使用者責任を追及する損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの死亡が自殺によるものか否かについて
亡Aは、天井から下がったクレーンに連結したワイヤの輪に首をかけていわゆる首をつった状態で発見され、その後死亡したものである。亡Aの遺書などは発見されていないものの、首をつるという態様自体が自殺を推認するものであるうえ、同人が、首をつる直前に自殺に関連する記事をインターネットで検索していたことも併せると、首つり自殺を図って死亡したものと認められる。
Y社は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2024年3月1日第2445号 掲載