【人的資本経営期のHR用語集】第71回 キャリアコンサルティング 能力開発にも助言 本人主導の6段階で/木谷 宏
2024.02.29
【労働新聞】
厚労省の定義に疑問も
厚生労働省は「キャリア」について、“過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖”としているが、この定義は2つの疑問を抱かせる。1点目は“職務経験”と言い切ることで、有償労働のみをキャリアの対象と思わせることである。同省ではキャリアを「職業生涯」あるいは「職務経歴」と訳しているが、たとえば無償で行うボランティア活動、育児休業中の家庭や地域での活動、働くことを見据えた学校での学びなどもキャリアとする考え方は存在するし、その方が自然であろう。2点目は同じく能力開発を“計画的”と断定していることである。能力開発を常に計画的に行っている人はどれだけ存在するだろうか。多くの人々が現在の仕事や自らの能力に悩み、将来に向けた(時には無計画な)試行錯誤を繰り返しながら職業能力を積み上げているはずである。
このように今日のキャリアの概念には誤解や曖昧さが内包されており、…
筆者:県立広島大学大学院 経営管理研究科 教授 木谷 宏
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令和6年3月4日第3439号12面 掲載