【人事学望見】第899回 人事権による降格は絶対的か 懲戒処分なら就規の裏付け必要
2013.02.18
【労働新聞】
労働契約法第15条は「懲戒」について定めたもの。当該懲戒は、労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効、としている。
成績不振の責任をかぶる
懲戒処分の中で、懲戒解雇に次いで屈辱的なものといってもいいのが、「降格」である。ただ、降格には懲戒処分とは別に「人事権」によるものがあり、まったく別の性格を持つ。
前記したとおり労契法第15条は、懲戒処分について規定したものであり、その裏付けとして就業規則に懲戒に値する規定の存在が必須要件といえる。この規定が存在しなければ、使用者の懲戒権発動による「降格」はなし得ず、客観的に合理的理由を欠く処分となって、争いになると「無効」の烙印を押されてしまう。
一方、人事権による場合は、当該労働者が与えられた役割を実行できず、その職務に耐えられないと判断されたときに発動され、長期雇用システムにおいては、労働契約上当然に使用者の権限として予定されている。その処分についてしばしば「見解の相違」として争いが生じるが、これについても人事権は絶対的なものではなく、「権利濫用法理」の規制を受ける。とくに、降格によって賃金が大幅に下がり、本人の不利益が大きいと判断された場合には、人事権の濫用となるので要注意だ。…
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平成25年2月18日第2909号12面 掲載