【対応力を鍛える人事学探究】第75回 営業秘密の保護 守るべき情報特定を 規定や合意書で明確に/坂井 瞭平

2024.03.28 【労働新聞】
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漏洩防ぐ契約結んでいても

 転職による人の流れが活発になり、秘密保護の重要性が高まっている。秘密保持の規定を定めたり社員と合意書を締結する会社は多いが、どの程度詳細な内容とするかは会社によりまちまちであり、実際に秘密保持義務や不正競争防止法2条6項の「営業秘密」としての保護が認められるか疑問の残るものは少なくない。保護の認められなかった事例として、秘密保持契約の解釈と営業秘密の該当性が争われたエイシン・フーズ事件(東京地判平29・10・25)を紹介する。

 同事件は、食品の製造、販売業の会社Xが、元従業員Yその他に対し、Yが転職先においてXの得意先、製造作業工程表、原価計算書などの機密情報を漏えい、使用したとして、秘密保持義務違反を理由とする損害賠償請求などを求めた事案である。YはXを退社後、…

筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 坂井 瞭平

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令和6年4月1日第3443号12面 掲載
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