【人事学望見】第925回 雇用調整を目的の出向とは 拒否者は人員整理基準の適用を
2013.09.02
【労働新聞】
最近の判例によれば、①労働契約の際、労働者が使用者の転勤命令に従うとの誓約書を提出している②就業規則に転勤に関する規定が定められている――等の具体的事実が存在すれば、使用者は労働契約を根拠に労働者の個別的同意なしに一方的に命じることができるとしている。
妥協すれば公平性を侵す
これに対し、出向は転勤と異なり、労働者に対する指揮命令の主体が変更するため、労働者の同意が必要であることは判例や学説でも異論がない。しかしながら、円高不況に伴う構造不況から雇用の確保のための出向、子会社を通じての新分野の進出に伴う出向、ポスト不足対策としての出向は、企業グループ内では、労働者の個別的同意なしで日常的に行われてきている。
ただ、こうした出向は積極的な企業戦略という面が強いため、労働者の反発は少ないが、逆に不採算部門の整理・廃止などの消極的な施策では、勤務地変更に伴う労働者の不利益は少なくなく、労使紛争に発展するケースも後を絶たなかった。…
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平成25年9月2日第2935号12面 掲載