【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第4回 職種限定が争点の裁判例② 配転規定適用されず 他の業務との違いが要点/安倍 嘉一
2024.04.25
【労働新聞】
警備は全くの別扱い
前回は限定契約の成立が認められなかった裁判例を紹介した。今回は、職種限定合意が認められた事例として、ヤマトセキュリティ事件(大阪地決平9・6・10)を解説する。もっとも、職種限定合意が認められる裁判例においては、多くのケースでその業務が他の業務と内容が異なったり、専門性が高いと判断されている(ゴルフ場のキャディ職に職種限定契約の存在を認めた東武スポーツ〈宮の森カントリー倶楽部・配転〉事件〈宇都宮地決平18・12・28〉)、外科医師に認めた岡山市立総合医療センター事件〈広島高裁岡山支決平31・1・10〉など)。今回紹介するのも、他の業務との違いが大きな事案である。
(1)事案の概要
会社は護送、護衛警備の請負などを業とする会社。労働者は、大学卒業後、イギリスとフランスに留学し、最終的にパリの大学を卒業した。会社社長が全日本空手道連盟事務局長に就任し国際交流の機会が生じたことから、会社の国際的な業務展開に資することになると考え、平成3年5月16日、会社と労働者は雇用契約を締結した。
その後、会社は、…
筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和6年5月6日第3447号6面 掲載