【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第6回 整理解雇に与える影響① 配転の可能性検討を 勤務地消滅したケースも/安倍 嘉一
2024.05.16
【労働新聞】
4要素は変わらない
ここまで限定契約と配置転換の関係を裁判例から考えてきたが、限定契約が影響を及ぼす論点はほかにもある。その代表例の1つとして、いわゆる整理解雇が挙げられる。
整理解雇とは、会社の経営判断による事業場や部署の閉鎖などに伴い従業員を解雇することをいう。勤務地や職種の限定契約が締結されている場合に、整理解雇はどのような影響を受けるだろうか。今回はシンガポール・デベロップメント事件(大阪地判平12・6・23)を取り上げる。
(1)事案の概要
会社(被告)は、シンガポール政府が設立した銀行で、日本国内には東京支店と大阪支店を置いていた。労働者(原告)は、大阪支店に雇用され、外国為替輸出業務を担当していた。会社は、平成11年3月4日、労働者らに対し、同年6月ないし7月ころに大阪支店を閉鎖すると発表した。また、同日の労働組合との団体交渉において、労働者らの雇用については希望退職を含む提案をするが、東京支店への転勤はないと告げた。その後、同月18日に書面で方針を説明し、…
筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一
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令和6年5月20日第3449号6面 掲載