【人事学望見】第1001回 試用期間中の解雇権発動は? 本採用者より幅広いというが…
2015.04.13
【労働新聞】
留保解約権付労働契約とは、使用者が持つ解約権(解雇権)を試用期間が満了するまで、発動しないという趣旨。試用期間は、従業員としての適格性判断のための観察期間だから、留保解約権を行使する場合には、不適格であるという証拠を具体的に示せと裁判所はいう。
実質的には社員と同じか
「試用期間がスタートしたばかりなのに、その解雇を云々するのは不謹慎だし、新入社員の方々に対し失礼なことと思うが、これも労働契約の勉強には必要なので、我慢していただこう」
新年度早々に開講された社内労働法セミナーの冒頭で、講師役の岡本人事課長がことわりを入れた。今年度、新世紀製作所に仲間入りした面々は、大卒4人、高卒20人。新入社員教育を終えたばかりで、まだ卵から孵化したとはいえず、労働法セミナーに自主参加するような余裕はない。したがって、課長のいう刺激的なテーマは、彼らにとっては何ら関心を示すようなものではなかった。
「試用期間の解雇について最初の最高裁判決として有名なのは、三菱樹脂事件(昭48・12・12大法廷判決)である。…
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平成27年4月13日第3012号12面 掲載