【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第7回 整理解雇に与える影響② 範囲内から検討を 回避努力義務の履行で/安倍 嘉一
2024.05.23
【労働新聞】
総合職へ転向打診も
前回は整理解雇を検討する際、限定契約の範囲を超えた配置転換の可能性についても検討すべきとする裁判例を取り上げた。整理解雇において、限定契約の問題は、いわゆる「解雇回避努力」を果たしたか、という文脈で検討される。つまり、一方的な解雇を実施する前に、配置転換などにより解雇せずに済む方策がないか検討したのか、が問われるのである。そこで、今回は、解雇回避努力について詳細に検討を行った鐘淵化学工業(東邦営業所A)事件(仙台地決平14・8・26)を取り上げる。
(1)事案の概要
労働者(債権者)は、平成元年1月に会社(債務者)の東北営業所に採用された。2年に会社の出資でカネカ東北建材㈱が設立され、東北営業所の社員は全員カネカ東北建材に出向した。労働者は11年に会社に戻り、経理・庶務の業務のほか、カネカ東北建材の経理・総務の仕事も行っていた。
13年7月、会社は経営合理化のため東北営業所の閉鎖を決定した。会社は労働者らの受入れを東北カネカ食品販売㈱および宮城樹脂㈱に打診したが、両社とも労務費の削減に取り組んでいるところで受入れは難しいと断られた。8月に、会社は労働者らに対し、…
筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一
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令和6年5月27日第3450号6面 掲載