【人事学望見】第931回 労働者派遣業と業務請負に新基準 発注者労働者の変更伝聞もOK
請負事業における雇用関係は、請負事業者がその労働者を雇い、直接指揮命令をして働かせ、その対価として賃金を支払う。労働者派遣事業の雇用関係は、派遣元が労働者を雇用しているが、就業に当たっては派遣先の指揮命令を受けて労務の提供を行う。
運転業務で柔軟な対応を
「と、簡単にいえばこうなるが請負と称しながら、直接指揮命令をしないで派遣先に任せっぱなしにするケースが後を絶たなかった。請負事業者や請負契約と称していても注文主が指揮命令をしている場合には、労働者派遣事業とみなされる。業務の完成を内容とする業務請負と派遣法の規制を受ける派遣事業とは、本質的にその性格を異にしているが、その両者間の区分を外形的に明確にするために定められたのが『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』(昭61年労働省告示第37号)というものだが、我われのような車両運行管理については、不明確なものがあり、今度、新たな疑義応答の追加が行われたので目を通しておくように」
吉本運送管理事業の中川業務部長は、請負労働者にペーパーを配布しながら、質疑応答に備えていたものの、運転者からは何の質問もなかった。
問題がないというのではなく、注文主が変わるごとに問題は生じていたが、運転者は質問という具体的な行動に移るほどの知識を持っていなかったのが要因だった。
「早川建設の班長は、えらそうに命令するけど、そんな権利はないんだな」…
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