【人事学望見】第934回 労働契約における職務特定 無いと現場一筋の者も事務転換
2013.11.11
【労働新聞】
民法642条1項によれば、労働者は約束した労働を行った後でないと賃金請求ができないのが原則。しかし、実際の業務の提供が無い場合でも、労働者が労働契約に従った労務の提供を申し出ているにもかかわらず使用者が不当に就労を拒否すると賃金請求権を失わない。
認められた賃金の請求権
片山建設では1人の現場監督をめぐって、幹部が頭を抱えていた。その人物は安藤毅といい、現場監督業務を20年以上にわたって続けていたベテランだった。しかし、バセドウ病を発症し、当初は通院治療しながら、現場監督業務を続けていたが、過酷な屋外業務は身体に相当こたえているという自覚を持つようになっていった。
このことを会社に訴え、配置転換を申し出たが、会社としてもほぼ専業で続けていた仕事と同等の成果を上げるようなものが、簡単にみつかるわけはなかった。これが幹部が頭を抱える問題となったというわけだ。工務管理部長の横山は、社長命令によって、問題処理の総責任者をおおせつかった。管理部長という職責だから当然の「ご指名」ともいえたが、そう簡単に名案が浮かんでこない。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成25年11月11日第2944号12面 掲載