【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第9回 能力不足解雇に与える影響② 入社3カ月でも有効 注意指導は想定されず/安倍 嘉一

2024.06.06 【労働新聞】
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“ナンバー2”を採用

 前回紹介したドイツ証券事件は、職種限定契約の存在を認定しつつ、解雇を有効と判断したが、会社側が問題点の指摘など、改善に関する措置を相応に取っていた。これに対し、今回取り上げるアスリーエイチ事件(東京地判平29・8・30)は、さらに極端に、入社後約3カ月で解雇した事案である。

(1)事案の概要

 会社(被告)は、コンタクトレンズ・化粧品の販売などを目的とする株式会社であり、韓国にある関連会社で被告代表者がCEOを務めているX社が製造した化粧品・カラーコンタクトを輸入販売している。平成28年5月時点の従業員は7人。労働者(原告)は、28年2月22日~同年6月6日まで、会社代表者の次の地位に当たる総合管理職兼営業部長として勤務していた(当時58歳)。労働者と会社の労働条件は、①試用期間3カ月、②基本給55万円などの内容が含まれていた。

 しかし、労働者は在職中、以下のようなトラブルを起こしていた。すなわち、…

筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一

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令和6年6月10日第3452号6面 掲載
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