【対応力を鍛える人事学探究】第84回 退職勧奨の手段・方法 伝え方次第で違法に 人格否定は相当性を逸脱/柏戸 夏子

2024.06.06 【労働新聞】
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原則としては自由に行える

 企業においては、従業員の業務配置が困難になる場合がある。しかし、企業側が一方的に労働契約を終了させる解雇・雇止めは、解雇権濫用法理(労働契約法16条)や雇止め法理(同法19条)による制限があり、ハードルが高い。そのため、企業は従業員の同意ベースで労働契約終了を図るべく、退職勧奨を実施することがある。退職勧奨を規制する法律はなく、原則として自由に実施できる。

 ただし、勧奨の手段・方法によっては、不法行為規範における違法性を帯びる場合もある。退職勧奨の違法性が認められた事案として、日立製作所事件(横浜地判令2・3・24)を紹介する。

 原告社員は、所属部署の部長から、アウトプットが雑、期限を守れない、部下のマネジメントをしないなどのパフォーマンス不良を理由に退職勧奨を受けた。原告社員は退職を明確に拒否したが、…

筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 柏戸 夏子

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令和6年6月10日第3452号12面 掲載
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