【多様な働き方を支える 限定契約の実務】第10回 同一労働同一賃金との関係 住宅手当が争いに 勤務地限定との関係で/安倍 嘉一
2024.06.13
【労働新聞】
同額は大きな負担に
解雇以外の分野で限定契約が取り上げられる場面として、いわゆる同一労働同一賃金の問題がある。すなわち、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パート有期法)8条は、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」と規定している。限定契約において、まさに限定の対象となる「職務の内容及び配置の変更の範囲」が、待遇の不合理性を判断する要素の1つとなっているのである。
なかでも争点となったのが、住宅手当や住居手当などの、住宅に対する補助として支給する手当である。とくに勤務地限定契約を締結している正社員と、同じ地域で勤務する短時間労働者や有期雇用労働者において、相違を設けることが不合理な相違に該当するかどうかが問題となった。
この点、平30厚労省告示第430号(いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」)においては、…
筆者:森・濱田松本法律事務所 弁護士 安倍 嘉一
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令和6年6月17日第3453号6面 掲載