【対応力を鍛える人事学探究】最終回 身だしなみに関する制限 評価の反映には注意 合理的かつ公平な運用を/林 栄美
2024.06.20
【労働新聞】
髭を生やした運転者へ減点
今回は、髭を生やしている点を考慮して減点評価をしたことを違法と判断した裁判例として、大阪市(旧交通局職員ら)事件(大阪高判令元・9・6)を紹介する。大阪市(被告)の交通局の職員として地下鉄運転業務に従事していた原告らは、同交通局が身だしなみに関する規則を定め、本規則に基づき髭を剃るように指導し、原告らが指導に従わなかったため人事考課において低評価としたことが、人格権としての髭を生やす自由を侵害するものとして、国家賠償法上の慰謝料などを求めた。
本判決は、本規則が交通局の乗客サービス理念を示し、職員の任意の協力を求める趣旨であるという限定解釈を行い、本規則を設けることについては必要性および合理性が認められるとした。そのうえで、運輸長が面談の際に人事上の処分や退職を余儀なくされる旨を示唆して原告らに髭を剃るように求めたこと、人事考課において髭を生やしている点を主たる減点評価の事情として考慮したことには、国賠法上の…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 林 栄美
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令和6年6月24日第3454号12面 掲載