【ジョブ型人事のリアル 欧米諸国の実態は】第1回 「人基準」に誤解あり 職能資格等級が原因で/須田 敏子
2024.06.27
【労働新聞】
イギリス企業の賃金制度を比較
近年、ジョブ型人事が注目を集めている。注目を集める発端となった要因の1つは、経団連の2021年・22年「経営労働政策特別委員会報告」における「自社型」雇用システムを選択しようとの提案である。なお、人事は、雇用、評価、報酬、人材開発など多岐にわたる人事施策領域、人事部門の役割や人事に関する意思決定権など人事機能領域など幅広い分野として捉えているため、経団連が「ジョブ型雇用」としているのに対して、本連載では「ジョブ型人事」との言葉を用いる。
筆者は00~02年に博士号研究として「賃金制度の日英比較」をテーマに、日本企業10社とイギリス企業8社の計18社を対象にケーススタディーを行った。18社すべてが日英を代表するような大手企業であった。イギリスのケーススタディー企業には、世界有数の製薬企業アストラ・ゼネカ、一時期日本に進出していたヴォダフォン、イギリス最大のスーパーマーケットチェーンのテスコ、世界最大の蒸留酒メーカーのディアジオなどが含まれる。そのなかには、…
筆者:青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 須田 敏子
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令和6年7月1日第3455号13面 掲載