【裁判例が語る安全衛生最新事情】第444回 トラック運送会社ほか事件 行政処分や労災認定が判断に影響 神戸地裁姫路支部令和5年1月30日判決
Ⅰ 事件の概要
被告Y1社は、貨物自動車運送業、倉庫業を目的とする会社であり、被告Y2、Y3は代表取締役であった者である。また、被告Y3は、その後死亡し、被告Y4はY3の妻、被告Y5はY3の長男、被告Y5はY3の次男である。
原告Xは、平成9年にY1社に入社し、主として食料品などの運送業務に従事していたが、平成28年6月20日に急性下壁心筋梗塞を発症し、入院して一命を取り留め、退院後の同年10月11日に症状が固定し、心機能低下の障害が残存した。
その後、平成30年、姫路労働基準監督署長は、業務上疾病として休業補償給付および障害補償一時金を支給した。
Xは、被告Y1社に対して、民法709条または民法715条による損害賠償請求(予備的に民法415条による損害賠償請求)を、代表取締役Y2に対して、会社法429条1項または民法709条に基づく損害賠償請求、被告Y4~Y6に対しては被告亡Y3の会社法429条1項または民法709条の責任を相続したものとして、それぞれ賠償請求をした。
Ⅱ 判決の要旨
1、被告Y1社の行政責任
Y1社は、平成27年7月、近畿運輸局から、自動車運転手の1日最大拘束時間が16時間を超えていたこと(11件)、休息期間を継続8時間以上与えていなかったこと(8件)、連続運転時間が4時間を超えていたこと(5件)、1カ月の拘束時間が320時間を超えていたこと(1件)などが、貨物自動車運送事業法および貨物自動車運送事業安全規則に違反するとして…
執筆:弁護士 外井 浩志
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