【ジョブ型人事のリアル 欧米諸国の実態は】第2回 日本以外は“職務別” 異なる賃金データ収集法/須田 敏子
2024.07.04
【労働新聞】
ジョブ型賃金の源流は分からず
ジョブ型人事は、日本では新しいタイプの人事であるが、世界では標準であり、日本以外の国にはジョブ型人事しか存在しない。ジョブ型人事が当たり前であるため、その発生や普及などに関する分析は行われなくなる。
筆者は、イギリスで修士号・博士号を取得した際、この問題に直面した。博士号研究テーマは「賃金制度の日英比較」であり、研究で最初に行うのが文献研究である。文献研究によって日英の賃金制度の特色を特定するのだが、困ったことにイギリスの賃金制度の特色の1つである「ジョブ型賃金」に関して、「なぜ発生し」「普及し」「定着したか」をまとめた文献がないのである。ジョブ型に決まっているのだから、分析する必要がないのだ。これに対し、一般的・全般的な職務遂行能力という日本特有の特色を有する人基準が、「なぜ・どのように発生し」「普及し」「定着したか」の分析は多く存在する。
困った筆者はさまざまな分野の経済学の文献を読みまくった。その結果、…
筆者:青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 須田 敏子
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和6年7月8日第3456号13面 掲載