【新法で大きく変わる!フリーランス活用の留意点】第3回 取引条件の明示義務① トラブルを未然防止 書面または電磁的方法で/中野 雅之

2024.07.11 【労働新聞】
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 第2回は、フリーランス新法の対象となる当事者・取引の定義を解説した。第3回は、新法の「取引の適正化」の規定の性質を概観したのちに、「取引条件の明示義務」についてみていくこととする。なお、「取引条件の明示義務」は新法の肝となる条項であるので、第4回でも解説する。

全ての発注者が対象

 フリーランス新法は、従業員を使用せず個人として業務を行うフリーランス(特定受託事業者)と、組織を有する発注事業者との間には、情報収集力や交渉力の構造的格差が生じやすいことに鑑み制定されている。そのため、適用範囲を下請関係にある取引に限定しておらず、下請法の規制対象となっていない資本金1000万円以下の小規模な発注事業者にも幅広く規制が及ぶようにしている。

 他方で、事業者取引における契約自由の原則から、行政の介入は発注控えが生じないよう最小限に留めることにも留意が必要であるとの観点から、フリーランス新法は、下請法の規制内容がベースとなってはいるものの、フリーランス取引の実態を踏まえたバランスのとれた規制とするため、下請法には規定されているがフリーランス新法には規定されていないものがある(たとえば、下請法4条の2の遅延利息の規定)。このように、下請法と比べて、フリーランス新法の適用対象となる取引は広いが、…

筆者:岩田合同法律事務所 弁護士 中野 雅之

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令和6年7月15日第3457号11面 掲載
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