【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第53回 特別高圧線近傍での災害
1.はじめに
今月は「電気使用安全月間」です。電気は現代社会では「インフラ〔産業基盤・生活基盤〕のエネルギー源として不可欠」ですが、目に見えないものです。この機会に「身近にある特別高圧(送電)線の危険性」を学びましょう。
感電とは、人間または動物が電気の流れている部分に接触したりして身体に電流が流れ、これによる急性の悪影響を受けること、またはその種の災害を意味しています。「感電する・電撃を受ける」は同義であり、電撃は電流を主体とする現象名といえます〔新・産業安全ハンドブック:中災防〕。
2.電圧の区分
電圧は、「低圧・高圧・特別高圧」の3種類に区分され、また、電気は「直流と交流〔*1〕」に区分されています。低圧による感電は、充電部に人体の一部が直接接触することによって生ずるが、高圧以上になると充電部に直接接触しなくても、ある限界以内に人体が近づくと、その間の空気の絶縁が破れて「閃絡(せんらく・flash over)を起こし電撃」を受けます。
〔*1〕現在、首都圏・中京圏・関西圏の3大都市圏の鉄道は、JR・私鉄とも直流電化〔架線がプラス側でレールがマイナス側、電圧は1500V・750V・600Vで、パンタグラフで受電なので裸線〕が主流で、本州の都市部や私鉄路線では一般的な方式となっている。新交通システムの「ゆりかもめ・ポートライナー」などは三相交流600V(低圧)を採用している。なお、駅のホームでの「金属製伸縮棒のカメラ撮りは極めて危険」。
電圧の種別は、交流の低圧は600V以下、高圧は600Vを超え7000V以下、直流の低圧は750V以下、高圧は750Vを超え7000V以下、特別高圧は7000Vを超えるもの〔安衛則第36条・電技省令第2条〕。
送配電線には、「送電線(特別高圧)と配電線(低圧・高圧)」がある。送電線〔記〕は、…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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