【ジョブ型人事のリアル 欧米諸国の実態は】第5回 要素へ分解し比較も 職務評価の手法に4類型/須田 敏子
2024.07.25
【労働新聞】
人的要件高いと賃金レベル上昇
本連載の第2回で、賃金データの収集方法について言及した。米国を例として挙げた「ジョブ型人事社会」では、賃金データはジョブを対象に収集・発表されることが多く、「メンバーシップ型人事社会」である日本では、学歴・年齢・勤続年数など属人的要素を対象に収集・発表されることが多い。この賃金データの例から分かるように、ジョブ型人事となれば、個人の賃金レベルは担当ジョブに紐づけられたマーケットペイ(市場賃金)に連動したものとなる。
これに第3回で取り上げた人的要件の「具体化・見える化・共有化」が加わる。ジョブ型人事になると、個人が有する「見える化」した人的要件がマーケット(内部労働市場・外部労働市場)で売買されることとなり、需要の高い人的要件を有する人は、内部昇進と転職による昇進のどちらもしやすくなり、賃金レベルが上がっていく。逆に、需要の低い人的要件を有する人は、内部昇進と転職による昇進のどちらも難しく、賃金レベルは低くなる(上がりづらい)。ジョブ型人事が普及すると、ジョブに連動した人的要件のマーケットでの価値によって、昇進や賃金が決定する「マーケット型人事」となる。
具体的なマーケットペイに基づく賃金決定の方法は…
筆者:青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 須田 敏子
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和6年8月5日第3459号13面 掲載