【ジョブ型人事のリアル 欧米諸国の実態は】第7回 処遇向上に直結せず 業務外学習自己啓発 日本で進まぬ理由/須田 敏子
2024.08.08
【労働新聞】
本人の望む人材開発が欠かせず
今回は、ジョブ型・マーケット型人事の普及が「人材開発」や個人の「学習意欲」に対して与える影響について考えてみたい。
第3回で紹介したように、ジョブ型人事の導入によって人的要件(職務遂行能力)は具体化されることとなる。見える化が進み、会社と社員の間で共有化が図られるため、自律型キャリア開発・人材開発は促進される。さらに、担当するジョブの内容および人的要件とマーケットペイ活用によって報酬レベルが連動するジョブ型・マーケット型人事となると、自ら進んでリスキリングをした労働者のエンプロイヤビリティ(雇用される能力)は高まり、自身の望むジョブやキャリアを自社だけでなく労働市場全体で見つけやすくなり、キャリア選択の幅がぐっと広まる。その結果、個人のキャリア開発・人材開発意欲はいっそう高まるだろう。一方で、「見える化」した人的要件と昇進・報酬など処遇との連動性も高まるため、この面でもキャリア開発・人材開発意欲は向上すると考えられる。
以上のように、ジョブ型・マーケット型人事となると、内的モチベーションと外的モチベーションの双方がアップする。企業の側からすれば、…
筆者:青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 須田 敏子
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令和6年8月19日第3461号13面 掲載