【ジョブ型人事のリアル 欧米諸国の実態は】第8回 多様性確保で不利に 長時間労働前提の日本型/須田 敏子
2024.08.22
【労働新聞】
長期雇用前提で転職は進まない
日本のメンバーシップ型人事と比較すると、ジョブ型・マーケット型人事はダイバーシティを推進する人事である。まず今回は、日本でとくに問題となっている「ジェンダーダイバーシティ」に焦点を当てて、なぜ、メンバーシップ型人事では、ダイバーシティが阻害されるのかをデータを基に解説したい。そして次回は、ジョブ型・マーケット型人事になるとダイバーシティが促進される理由を、具体例を基に論じていく。
本連載の第2回において、メンバーシップ型人事が普及している日本では、賃金統計の多くが学歴別・年齢別・勤続年数別など属人的要素に基づいて収集・発表されていると紹介した。これは近年、変化はしてきているものの、現在でも年次管理に基づく年功制がある程度維持されていることの裏返しといえる。年功制であれば、職位や賃金など処遇レベルを上げていくためには長期間の勤務が必要となる。
そこに、前回紹介した「遅い選抜」という日本型人事の特色が加わる。キャリアの前半では新卒同期入社の社員間で大きな昇進格差を付けず、…
筆者:青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授 須田 敏子
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令和6年8月26日第3462号13面 掲載