【人的資本経営期のHR用語集】第94回 OJT(前編) 成果主義も原因に 能力支援施策の弱体化/木谷 宏
2024.08.22
【労働新聞】
育成の真空地帯発生も
少し古いデータだが、筆者が日本企業に行った5年間に及ぶ調査結果がある。約200社に対して過去10年における人材育成の状況を聞いた質問では「不十分であった」とする企業が大半であり、以下の実態が明らかになった。
第1に、不十分だった原因として、業績不振による予算不足、成果偏重によるプロセスの軽視、不明確な人材育成方針を多くの企業が挙げていた。第2に、行った具体的な施策は、短期的で散発的な研修、社員の自主性に任せた自己啓発、一部の社員に限定した教育が中心であった。第3に、育成がほとんど行われない真空地帯が社員の層のなかに発生していた。人材育成の二本柱である“会社主導の教育訓練”と“個人主導のキャリア開発”は接合されておらず、成長と学習を支援する企業風土が醸成されていなかったのである。
あるいは、不況による人材育成の予算削減と結果重視の成果主義によって…
筆者:県立広島大学大学院 経営管理研究科 教授 木谷 宏
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令和6年8月26日第3462号12面 掲載