【ケーススタディー人事学Q&A】第9回 出向先での心理的負荷 業務軽減の要請を 「助言のみ」では足りず/西川 暢春
2024.08.29
【労働新聞】
【Q】 T旅行会社は、12カ月を期間として従業員を関連会社のUリゾートホテルに在籍型出向をさせている。ある日、従業員から「出向がつらいので戻りたい」とのメールが届いた。急いで話を聴くと、出向前にはほとんど残業をしていなかったが、出向先では毎日数時間行っているようだ。慣れない業務で強いストレスも感じていて、精神科の受診も検討しているらしい…。
病院の受診を勧める
【A】 在籍型出向は、出向元が従業員を自社に在籍させたまま、出向先の業務に従事させる人事異動である。出向に伴い、出向先と出向社員の間にも労働契約が締結され、出向先と出向社員との間、出向元と出向社員との間に二重の労働契約関係が成立する。
本件の場合、出向先であるU社は、出向により成立した労働契約関係に基づき、出向社員を使用する者として、出向社員に対する安全配慮義務を負う。また、出向元であるT社も、出向社員との労働契約に基づき、…
筆者:咲くやこの花法律事務所 代表弁護士 西川 暢春
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令和6年9月2日第3463号12面 掲載