【人事学望見】第1019回 本採用拒否の法理をみる 試用期間中の解雇をあなどるな
2015.08.24
【労働新聞】
試用期間中の従業員の本採用拒否は「これを通常の解雇とまったく同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきものといわなければならない」(三菱樹脂事件最高裁大法廷判決)とされている。
絶対でない最高裁の判断
「しかしながら、法律上は解雇する場合と同様に本採用拒否について客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上是認される場合のみ認められる、という解雇権濫用法理の適用がある。試用期間中は、使用者の持つ解約権を留保しているという理論が定着しているが、試用期間中の社員といえども労働契約を締結している者だから、一般社員と同視しなければならないと考えられる」
定例の社内セミナーで講師役の今井人事課長がこういった。広い範囲で解雇の自由が認められている、と軽々に思い込んではいけないといいたいらしい。それどころか、東京高裁の厳しい見方(ニュース証券事件=平21・9・15)まで紹介した。…
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平成27年8月24日第3030号12面 掲載