【ケーススタディー人事学Q&A】第11回 年休の“前借り” 分割付与で対応困難 基準日繰上げが必要に/西川 暢春
2024.09.12
【労働新聞】
【Q】 X電気産業では、働き方の柔軟性を高めてきた結果、年次有給休暇の取得率が100%に達する社員も少なくない。ある日、社員Yが、「来月、新婚旅行に行くに当たって、配偶者と予定を合わせるため、年休を5日分“前借り”させてほしい」と申告してきた。法的に認めて良いのだろうか?
法定内では非現実的
【A】 従業員が年休を使い切った場合や、入社から6カ月未満で年休の権利がない場合に、年休を前借りしたいという要望が生じることがある。前借りは、従業員にとってはメリットであり、一見問題なさそうである。しかし、結論から言えば、法定の年休について前借りを認めることは困難である。
法律上、法定の年休の日数の一部を入社後6カ月が経過する前に付与すること自体は可能である。これは「分割付与」と呼ばれる。しかし、この分割付与をする場合は、次年度以降の年休の付与日も、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げることが必要である(平成6年1月4日基発第1号)。
たとえばYが4月1日入社の場合、…
筆者:咲くやこの花法律事務所 代表弁護士 西川 暢春
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令和6年9月16日第3465号12面 掲載