【人事学望見】第1029回 社内貸付金と退職金相殺 労働者の自由意思による合意を
2015.11.09
【労働新聞】
賃金をうっかり過払いした場合、会社は当該労働者に対し、払い過ぎた分は当然に返還を求める。これを不当利得返還請求権という。使用者や給与担当者に過失がある場合でも構わないと解されているが、賃金と相殺することは賃金全額払いの原則に違反するから注意を要する。
全額払原則がからむから
「うちの会社では、住宅資金の貸付制度上、返済方法は退職金と相殺する仕組みになっているが、もしも、ご本人が嫌だといったらどうなるのだろう」
経理課に配属されてからやっと3年目を迎えた大山一郎が、誰にいうでもなくつぶやいた。これを耳にした先輩社員の岡本武が、そんなわがままが通るものかとクチをとがらせていった。
「退職金の法的性格いかんでは、労働基準法24条1項にいう全額払いに当たるのではないですか」…
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平成27年11月9日第3040号12面 掲載