【人事学望見】第1033回 違約金適用の前提条件とは 金銭消費貸借に係る明確な合意
2015.12.14
【労働新聞】
労働基準法16条の「損害賠償予定の禁止」については、法制定当時より、お礼奉公というかたちで係争になっており、請求する使用者側にお灸がすえられたというイメージが強い。しかし、判例をみると返還請求を認めているものも少なくない。
合理的方法で返還を求める
ロア・ユナイテッド法律事務所の岩出誠弁護士は、一定期間の就業をしなかった従業員から人材開発投資の返還を求めるための条件について、判例・学説を踏まえて分析している。
まず、共通して挙げられるのが、(1)立替金または金銭消費貸借としての明確な合意の存在と(個別のみか規程によっても良いのか)、(2)その合意において、返還義務そのものの存在、返還方法、返還開始時期などが明確に合意されていることである。しかし、これらの条件が満たされれば、すべて返還が義務付けられるわけではない。明示の有無にかかわらず、(3)返還すべき範囲の基準として合理性が要求される。客観的、合理的に算定された範囲で合理的な方法で返還を求める場合のみ返還義務が認められる。…
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平成27年12月14日第3044号12面 掲載