【裁判例が語る安全衛生最新事情】第449回 府立高校教員事件 過労による適応障害で注意義務違反 大阪地裁令和4年6月28日判決
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、Y府(大阪府)の設置・運営する高校の担当教諭として勤務しており、過重な業務により長時間労働を余儀なくされ、適応障害を発症したとして、国家賠償法1条1項または債務不履行(安全配慮義務違反)に基づき損害賠償請求をしたものである。
Xは、平成28年4月から府立A高校の教諭として1科目の副担任として授業をするとともに、部に所属し、委員会活動、部の顧問、もう一つの部の副顧問、高体連専門委員などを務めた。平成29年7月には、慢性疲労症候群で自宅療養の必要を求める旨の診断を受け、1カ月間の自宅療養を交付された。
また、同年7月20日ごろには適応障害を発症し、その後9月25日から12月15日まで、平成30年2月6日から同月13日まで病気休暇を取得し、同月14日から3月31日までの間、病気休職を命じられ、同年4月1日から職場復帰した。
地方公務員災害補償基金大阪府支部長は、平成29年7月中旬に適応障害を発症したものと認め、Xは公務により発症直前の連続した2カ月間に1月当たりおおむね120時間以上の、または発症直前の連続した3カ月間に1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行ったものと認められるとして、公務上の災害と判断をした。
Xは、校長は勤務時間管理者として時間外労働時間を把握する義務があるのに、それを怠り、労働時間の調整をせずにXを適応障害にり患させたとして、国家賠償法1条1項または安全配慮義務違反に基づいて損害賠償請求をした。
Ⅱ 判決の要旨
1、原告Xの時間外労働時間数
Xは、発症前6カ月間の時間外労働時間数は次のとおりである。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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