【労働移動を前提とした競業避止と情報漏洩対策】第2回 在職・在任中の競業避止義務 労働者は当然に負う 違反者へ損害賠償が可能/岡本 直也

2024.10.10 【労働新聞】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

退職金不支給の根拠にも

 在職中、労働者は、仮に就業規則などで競業避止義務を負うことが定められていなかったとしても、当然に競業避止義務を負うと解されている。そうだとすると、労働者が在職中に競業避止義務を負う法的根拠はどのようなものであろうか。

 この点、労働契約法3条4項は「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」と規定しており、誠実義務を負っていることが明らかになっている。こちらの条文からただちに在職中の競業避止義務が導かれるものではないものの、裁判例上は、①誠実義務を根拠とするもの、②使用者の正当な利益を労使間の信頼関係に反するような態様で侵害してはならないという雇用契約上の付随義務または信義則上の義務を根拠とするものなどがある。

 労働者が在職中に競業避止義務を負うことの法的根拠については、裁判例上、明確に固まっているとはいえないものの、在職中に労働者が競業避止義務を負うこと自体は雇用契約の性質上当然と解して問題なさそうである。したがって、在職中に競業避止義務違反をした労働者に対しては、就業規則などの社内規則違反(使用者によっては誓約書違反の場合もある)に基づく懲戒処分のほか、民法709条(不法行為による損害賠償)に基づく損害賠償請求も行うことができるという帰結になる。労働者が退職する場合の退職金減額や不支給の根拠となる場合もある。

 実際に訴訟になった場合、…

筆者:弁護士法人岡本 岡本政明法律事務所 代表弁護士 岡本 直也

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

令和6年10月14日第3468号6面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。