【ケーススタディー人事学Q&A】第14回 けんかと労働災害 休業あれば報告必須 私的な理由での争いでも/西川 暢春
2024.10.10
【労働新聞】
【Q】 「こんな稚拙な話で悩むとは…」。A金属工業のB課長は、溜息交じりにボヤいた。昨日、部下のC、Dの両人が就業時間中にけんかをし、Cが利き腕の骨折で全治3カ月と診断されたからだ。「就業時間中の怪我ですから、労働基準監督署に報告しないと…」と進言してきたのは、腹心の部下E。本当にそうなのだろうか…?
早退だけなら対象外
【A】 労働者が労働災害等により死亡または休業した場合には、労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出しなければならない(労働安全衛生規則第97条)。Eが進言しているのは、この報告のことである。
行政において労働災害の統計の作成や事故原因の分析、再発防止のための対策の検討に利用するために、この報告が義務付けられている。報告義務に違反した場合は、50万円以下の罰金の対象となる(労働安全衛生法第120条第5号)。
では、本件も報告義務の対象になるのだろうか。本件は従業員同士のけんかである。その原因がC、D間の私的なものである場合、…
筆者:咲くやこの花法律事務所 代表弁護士 西川 暢春
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令和6年10月14日第3468号12面 掲載