【ポジティブに考える!改正育介法対応】第7回 マタハラ・パタハラ 「キャリア形成」尊重を 離職防止の観点からも/佐藤 有美
2024.11.14
【労働新聞】
通常なら人事権行使の範囲でも
育児介護に携わる労働者への対応に関する相談の際、その多くが「〇〇という措置を採ったらマタハラになりますか」という質問になる。実際「マタハラ」か否かの境界線は、育児介護と仕事の両立を考えるに当たって、人事労務担当者がまずはじめに直面する課題なのだろうと痛感する。令和6年育児介護休業法改正では、マタハラ等に関する直接の改正はない。それでも新しい制度や仕組みが次々に増えることによって、今までになかった衝突が現れるかもしれない。
パワハラなどの「職場のハラスメント」の境界線を論じるに当たっては「業務上の必要性があるのは大前提。その目的を果たすために相当な言動かどうか」という説明から始める。必要もないのに相手が嫌がることをしてはいけないのは当然で、ハラスメントを学ぶまでもない。しかし、育児介護の局面ではそれだけでも足りない。通常時ならまったく問題のない人事権の行使がマタハラと指摘されることもある。
一般的にマタハラ(父親の場合はパタハラ)とは、上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した労働者や育児休業などの制度を利用する労働者の…
筆者:西脇法律事務所 弁護士 佐藤 有美
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令和6年11月18日第3473号13面 掲載