【労働移動を前提とした競業避止と情報漏洩対策】第8回 営業秘密と請求の要件 高い立証のハードル 不正取得と使用が必要に/岡本 直也
2024.11.21
【労働新聞】
大きく4類型に分かれる
不正競争防止法2条1項4~10号には、営業秘密に関して「不正競争」として損害賠償請求などを行うための要件が明記されている。これらの要件を満たさない場合は違法と認められず、損害賠償請求は棄却される。不正競争の類型は、大きく①不正取得類型(取得自体が不正の場合)、②不正開示類型(開示、使用が不正の場合)、③転得類型、④譲渡類型の4つに分けられる。
まず、2条1項4号は、①不正取得類型として、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(営業秘密不正取得行為)を挙げている。たとえば、情報管理担当者に虚偽の事実を述べて顧客情報を印刷させて取得した行為、新製品の設計図データを無断で複製して使用・開示する行為などがこれに当たる。
営業秘密の「取得」とは、営業秘密を自己の管理下に置く行為をいい、…
筆者:弁護士法人岡本 岡本政明法律事務所 代表弁護士 岡本 直也
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令和6年11月25日第3474号6面 掲載