【ケーススタディー人事学Q&A】第20回 ドライバーの割増賃金 労働時間分を明確に 判別性と対価性で判断/西川 暢春

2024.11.21 【労働新聞】
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【Q】 物流業への参入を決めたF興産では、トラック運転者の割増賃金の支払い方法で議論が紛糾していた。「長距離手当」や「配送手当」などとして定額を支給する方法、輸送単価(売上高)の◯%の「業績手当」を支給する方法が候補に挙がっていたが、いずれも法的に問題ないかどうか、自信を持てずにいたのだった。

法定以上は問題なし

【A】 労働基準法の割増賃金の規定により使用者に義務付けられるのは、同法に定める額以上の割増賃金を支払うことである。これが支払われる限り、同法における計算方法をそのまま採用する必要はない。従って、F興産が検討しているような方法自体に問題はない。ただし、これらの方法による支給額が、同法上支払いが義務付けられる割増賃金の額に満たない場合は、その差額分を支払う必要があることは当然である。

 しかし、同法における計算方法とは異なる計算により支給される手当について、それが割増賃金の支払いといえるかどうかが争われる例も多い。裁判所は、このような手当が割増賃金の支払いといえるためには、まず、「通常の労働時間の賃金に当たる部分」と「割増賃金に当たる部分」とを判別できることが必要であるとしている(最判平29・7・7=医療法人社団康心会事件)。これは判別可能性の要件と呼ばれる。割増賃金が、同法上支払わなければならない額以上支払われているかを検証することを可能にするために必要とされる要件である。

 次に、…

筆者:咲くやこの花法律事務所 代表弁護士 西川 暢春

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令和6年11月25日第3474号12面 掲載
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