【裁判例が語る安全衛生最新事情】第453回 コールセンターセクハラ事件 言動に事業執行性あり責任免れず 鳥取地裁令和6年2月16日判決
2024.11.26
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、平成27年12月に被告Y2社に入社し、被告Y1の部下であった。Y2社は、鳥取市に本店を置き、コールセンター事業、法人ソリューション事業、福祉事業を行っていた。Y1は、Xと同じ店舗で働く執行役員兼法人事業部長であった。
Y1は、平成30年4月から同年10月にかけて、Xに無理矢理キスをしたり、カラオケ店でスカートの裾をめくったり、ジャケットを脱がそうとしたり、性交渉を求めたりさまざまなセクハラ行為を行った。
Xは、平成30年10月22日に、心療内科を受診し、適応障害の診断を受け、同年11月1日からY2社を休職している。令和元年11月16日にうつ病の診断を受けた。
Xは、Y1の言動により、精神的苦痛を受け休業を余儀なくされた、また、Y2社に対しては事前または事後の安全配慮義務違反により精神的苦痛を受けたとして債務不履行による損害賠償請求を行った。
なお、岡山地方裁判所は、令和2年12月21日に、Y1に対して強制わいせつの罪で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を下した。
Ⅱ 判決の要旨
1、Y1のセクハラ行為
① カラオケ店内で、Y1がXのスカートの裾を引っ張り上げようとする行為。
② 誕生日会として、Xの誕生日に飲食に誘い、バーを退店後に性交渉を求め、胸部を直接手で触った。
③ Y1の誕生日会の…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2024年12月1日第2463号 掲載