【労働移動を前提とした競業避止と情報漏洩対策】第11回 引抜きと転職者の受入れ “元”との契約確認を 状況に応じて誓約書取得/岡本 直也

2024.12.12 【労働新聞】
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態様によっては不法行為

 企業にとって優秀な人材が経営の根幹となることを疑う余地はないが、優秀な人材を中途で採用しようとすれば、必然的に他社から引き抜くことになる。ハイクラス転職などの広告を見ない日がないほどに人手不足が深刻化している現代社会において、どのような点に注意すれば良いか。

 引抜きは大きく分けて、①在職中の引抜き、②退職後の引抜き、③まったく無関係な会社からの引抜き――の3つが考えられる。

 まず、①の場合、従業員は在職中の会社に対して誠実義務および忠実義務を負っているものの、個人の転職の自由は憲法22条1項で保証された人権であるから、当然に違法となるものではない。もっとも、ラクソン事件(東京地判平3・2・25)は、「転職の勧誘が引き抜かれる側の会社の幹部従業員によって行われたとしても、右行為を直ちに雇用契約上の誠実義務に違反した行為と評価することはできない」とする一方、「退職時期を考慮し、あるいは事前の予告を行う等、会社の正当な利益を侵害しないよう配慮すべきであり(従業員は、一般的に2週間前に退職の予告をすべきである。民法627条1項参照)、これをしないばかりか会社に内密に移籍の計画を立て一斉、かつ、…

筆者:弁護士法人岡本 岡本政明法律事務所 代表弁護士 岡本 直也

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令和6年12月16日第3477号6面 掲載
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