【新春特別寄稿】2025年賃上げ予測 1.6万~1.75万円か/菊谷 寛之 大手は5.13%以上も/赤津 雅彦 4.2%で前年割れ/小林 真一郎
賃金コンサルタントと、民間シンクタンクの研究員の3氏に、今春の賃上げについて予想していただいた。引上げ率は、3氏とも昨年に引き続き高水準になるとしている。ただし、各種コスト増加や米国・トランプ大統領の再選が影響し、昨年の賃上げ率は下回るとした。とくに中小企業にとって複数年にわたって賃上げを継続することは難しく、企業規模間はさらに広がるとの指摘も。
1.6万~1.75万円か/プライムコンサルタント 代表 菊谷 寛之
円安による好業績を背景に昨年の厚生労働省・民間主要企業の賃上げは1万7415円、5.33%(前年比+6170円、+1.73ポイント)となり、33年ぶりの大幅賃上げが産業全体に広がった。新卒初任給やパート時給の引上げだけでなく、中堅層以上の管理職・専門職の賃金改善も進んだ。
実質賃金は長らくマイナス基調が続いたが、最低賃金が10月に過去最大の51円増額となり、昨年冬のボーナスも好調で、賃金改善が消費回復に寄与し始めている。
昨年11月の政府総合経済対策によると、実質GDP成長率は24年度の0.7%から25年度は1.2%に上昇し、…
※続きはログイン後閲覧できます。
大手は5.13%以上も/賃金システム研究所 所長 赤津 雅彦
厚生労働省調査(主要企業348社)によると、昨年の賃上げ結果は率で5%、額では1.7万円を超えていたが、産業間格差は約2.7万円と大きく、賃上げができなかった企業が回答していない可能性も否めない。そうしたことから弊所では、政府発表の国全体の付加価値、つまり名目GDPの額と、それに占める雇用者報酬の額の長年の傾向から、「1人当たりの人件費アップ可能率」を試算した。
それによると、昨年2月の段階で、昨年の人件費アップ可能率(ベア余力)は、2.5%のベアだった。仮にベア率が2.5%だとすると日本独特の「定昇」(大手で1.9%と仮定)を加えて、大手企業は1.9%(定昇)+2.5%(ベア相当)=4.4%だと予想できた。しかし、先の昨年主要企業調査での賃上げ率は、…
※続きはログイン後閲覧できます。
4.2%で前年割れ/三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主席研究員 小林 真一郎
昨年の春闘の賃上げ率は、厚生労働省の調査で5.33%、連合調査で5.10%と、いずれも高い伸びとなった(両者とも定期昇給分も含む)。今年は、さすがに鈍化しようが、それでも近年の実績に対してかなり高い伸びとなる見込みである。
春闘での賃上げ率に影響を及ぼす諸要因についてみていくと、まず景気は緩やかに持ち直している。賃金の伸び率が徐々に高まり、夏のボーナス支給額が堅調に増加するなど、家計の所得環境の改善が続いており、個人消費が底堅く推移していることが背景にある。力強さには欠けるものの、成長と分配の好循環が維持されており、今年も景気は緩やかな持ち直しを維持しよう。ただし、米国のトランプ次期大統領による通商政策の行方、米中貿易摩擦が再燃する懸念、地政学リスクの高まりなど、…
※続きはログイン後閲覧できます。
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら