【企業に必須の“安全経営”のススメ】第1回 トップ自らが知識を備え積極的に関与/向殿 政男
安全管理を効果的に進めるためには、マネジメント層が安全に関する基本知識を備え、経営視点から関与をしていく必要がある。本連載では、企業に求められている“安全経営”の考え方と、安全マネジメントの資格制度であるセーフティオフィサの取得を通じて社内体制を強化する企業の事例を、全6回のリレー形式で紹介する。第1回は、企業が果たすべき安全責任と安全学の概要について、セーフティグローバル推進機構の向殿政男会長に解説していただいた。
企業活動の基礎に「安全」がある
1.はじめに
企業の存在意義は、何であろうか。企業の本来の目的は、社会の人々の幸せな生活に貢献し、平和な社会の構築に寄与することにあるはずである。決して、利潤を上げること、組織を大きくすること、これらを通して株主に貢献することだけが企業の目的ではない。
企業が本来の目的を果たすためには、人々や社会の要望に対して、誠実に、堅実に、継続性をもって応えていかなければならない。そのためには、(1)企業は、顧客に対して安全な製品、サービス等を提供し続けなければならない。さらに、(2)企業は、社会から信頼された安全で健全な組織体であり続けなければならない。その前提は、(3)企業で働く人々にとって「安全な環境で、健康に、やりがいをもって働ける職場」でなければならない。
これらを通してこそ、企業は、社会の人々の幸せな生活に貢献し、平和な社会の構築に寄与することができる。このように考えてみると、企業活動の基礎に、まず、「安全」という概念があることが分かる。
2.企業が果たすべき3つの安全
企業が大事にすべき安全には3つの面がある。1つは、…
執筆:セーフティグローバル推進機構 会長 鉄道総合技術研究所 会長 明治大学 顧問 向殿 政男
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