【裁判例が語る安全衛生最新事情】第457回 福生病院企業団事件 パワハラ注意せず安全配慮義務違反 東京地裁立川支部令和2年7月1日判決

2025.01.28 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 原告Xは、被告Y企業団の公立福生病院(以下、「本件病院」という)に勤務していた者であり、事件当時には本件病院の事務部の課長の地位にあった。Y企業団は、東京都福生市などで構成される地方公営企業法上の企業団であり、公立福生病院を設置運営している。以前は地方自治法上の一部事務組合であったが、令和2年4月に現在の組織、名称となった。

 Xは、病院の事務次長であるAから、さまざまな暴言を受けた結果、適応障害、睡眠障害などを発症し、約4カ月間の病気休暇、休職に追いやられたが、復帰している。

 なお、Aの暴言は、数多くあるが、判決はそのうちの7つを取り上げていずれも違法な発言であると認定している。

 Xは、Aの行為はパワーハラスメントに該当し、その職場にはAの上司としてB事務長がおり、C庶務課長がいたが、BもCも、Aの暴言に対して適切な措置を取らなかったとして、Y企業団は安全配慮義務違反および国家賠償法1条1項の責任を負うとして、Y企業団に対して、損害賠償請求訴訟を提起した。

Ⅱ 判決の要旨

1、事務次長Aの発言

(1)平成28年10月28日、Aは、B、C、Xほか1人の出席する会議において、Xに対して、「嘘つきじゃないの」「えらそーにいってんじゃねーよ。ばーか(ペンで机を叩く)」などの発言を約14分行った。

(2)平成28年11月10日、XはAに対して…

執筆:弁護士 外井 浩志

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2025年2月1日第2467号 掲載
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