【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第59回 はしごの不適正使用の災害②
1.はじめに
2024年1月1日に発生し、死者504人(うち災害関連死276人、2024年12月27日現在)に上る「令和6年能登半島地震」から1年が過ぎました。昨年8月には、日向灘を震源とする地震があり、平時より大地震の可能性が相対的に高くなっていることなどを知らせる「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)が発表されました。さまざまな地域で復旧復興工事が進むなか、大地震をはじめとする自然災害はいつ起こるか分かりません。作業現場では、そのようなリスクにも対応できる安全対策に取り組みたいものです。今回も引き続き「はしごの不適正使用の災害」がテーマです。
2.移動はしごに関わる災害2事例
〔作業環境〕海に近い当製造工場は高度成長期の昭和30年代に建設され、旧河川敷にあり支流の堤防越流でたびたび50㎝以上の冠水に遭遇。そのため特別高圧線の送電塔からの受電設備は高さ2mの鋼台上に、受水槽は高さ2mのコンクリート基礎上に設置〔高さ1m程度の津波にも対応可能!〕。工場内の作業構台の昇降階段・手すりは腐食、水銀灯は製造が禁止されたので、工場が操業休止しているときに設備交換などを行うことになりました。
【災害1】
作業者Cは、「全長6mの1連はしご(以下、はしご)」を壁面に立て掛けて、工具を右手に持ってはしごを上っているとき、右足が滑りバランスを崩して高さ5mから墜落し、…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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