【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第60回 はしご道の不適正設備の災害①
1.はじめに
早春の候、3月5日は啓蟄(けいちつ:冬ごもりの虫がはい出る)、3月11日は忘れてはならない「東日本大震災」から14年。日本は「いつ・どこで大規模地震」が起こるか分かりません。〔☆備えあれば、減災できる!〕
【緊急で避難する場合】①携帯電話(スマホ)・充電器、②現金、③保険証・持病の薬、④合羽・運動靴・帽子、⑤メガネ。
当連載は、東日本大震災直後の2011年4月1日号からスタートしたので、今月で満14年となりました。
2.固定はしごに関わる災害2事例
【固定はしごの作業環境】前回と同様に、海に近い当事業所のA工場は高度成長期の昭和35年建設で、海に近いため、固定はしごを含む鉄製の物は塩害で腐食が著しく進行していた。工場は主力A工場とB工場(次回の災害事例)がある。
【工場の概要】主力のA工場は幅25m・奥行き50m・棟高22m・軒高25mで、3基の天井クレーン〔*1〕を設置。
〔*1〕クラブトロリ式天井クレーンは、主巻き50tつり・副巻き10tつりで、ガーダーのスパン22m・ガーダー上部の高さ20m・トロリ上部の高さ22m・ランウェイ〔*2〕の高さ17.5m。左右のランウェイ(走行レール)の両端には昇降用の固定はしご〔*3〕が設置してある。
〔*2〕ランウェイの壁面側には、墜落阻止装置のマンセーフシステムの親綱ワイヤ〔ステンレスの直径9mm〕を設置。
〔*3〕昭和35年設置のランウェイ下流側の固定はしごは中間に踏だながなく、背もたれもない。昭和40年設置のランウェイ上流側の固定はしごは中間に踏だながあり、背もたれもある。
【災害1・2:A工場の作業環境】ランウェイ下流側の固定はしご(以下、はしご)は一直線で、中間に踏だな・背もたれがなく、スライド器具もない。はしごは長さ17mで、…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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