【本当に役立つ!こころの耳】第57回 事例紹介53 主治医に不満がある人の職場復帰支援
この再休業に至るまでの間に、産業医は本人の同意を得て、何度も主治医に書面で病状を照会しましたが、主治医からの返信はありませんでした。そこで、産業医が主治医を訪問したところ、「本人が家にいても手持ち無沙汰だというから就労可能である」「十分な回復前に復職するのもよくあること」「家にいても気が滅入るだろうから、復職で気分転換をさせたい」などと話すばかりで、診断の根拠について専門的な意見を伺うことはできませんでした。
約1年の休業後、本人の強い希望もあり、主治医も復職可能としたので、2回目の復職を果たしました。午後勤務や時間短縮勤務も試みましたが、欠勤したり、急に泣き出してしまったりという不安定な就労状況が続きました。主治医について本人は、「私が専業主婦になれば治るというが、私の仕事を続けたい気持ちを分かってもらえない」などとコメントしていましたが、ある時、「私には薬が必要だとは思うが、今の先生の助言には納得できない。受診日はかえって気分が悪くなる」との訴えがあったことから、産業医から別の精神科専門医を紹介することになりました。
新しい主治医は、本人の話をよく聞き、産業医とも積極的に情報交換をし、職場の状況に合わせて治療を進めてくれました。すると、約半年で病状が安定し、現在は元気に働いています。この事例の詳細・解説は、「こころの耳」に掲載されている本文をぜひご覧ください。
http://kokoro.mhlw.go.jp/case/709/
筆者:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
こころの耳ポータルサイト運営事務局 事務局長
石見 忠士